日本古来の竹小舞による土壁の機能と魅力を最大限に生かし、パッシブハウスの設計アプローチを用いて夏と冬のバランスを追求した省エネ建築デザイン。
冬の日射を最大限に取り込み、夏の日差しを効率よく遮蔽できるような屋根形状と、高性能な木製サッシの採用により、省エネルギーで驚異的な快適性を達成しています。
杉の優れた断熱性能とアルミの優れた耐候性の助け合いによって誕生した、日本の降水量と外気温に最も適した木製サッシ。
十津川の豊富な杉資源を利用した外壁仕上げ。
無塗装で、環境負荷が少ない上、美観上にも優れています。
再生可能なエネルギーを使って、限りなくカーボンニュートラルに。建物が断熱性と気密性に優れているため、蓄熱式薪ストーブ1台で、家全体を暖めます。
竹を組んだ竹小舞に、ねり土を塗り固めた、吸湿性や断熱性に優れる、伝統的な建築方法です。
成長が早く、CO2吸収能力が高いケナフが原料の耐力面材ボード。湿気を通し、地震に強い耐力壁をつくります。
高い断熱効果を持ちながら、蓄熱性に優れているため、夏季の遮熱にも威力を発揮する環境配慮型断熱材。
白蟻の食害に強く、耐久性にすぐれながら、断熱性も持ち合わせています。
建物の剛性を上げる必需品。地元十津川の杉を使用し作りました。
アルミと亜鉛で鉄を守ることにより生まれた耐久性に優れた鋼板屋根。
耐久性、加工性、そして見た目も美しいのが特徴です。
湿気を吸収し調節するので季節の変化に耐え、カビがつきにくいという性質があります。
柔らかな杉の質感や香りが心地よく、優しい踏み心地で、肌触りが暖かく感じます。
土とセメントで出来ており、土足で使う場所で、玄関や部屋の一部としても使え、家の外と中をつなぐ中間的な空間をつくります。
西日を遮断し、視界は通す外付けロールスクリーン。日本に言う“よしず”の役割を果たします。耐候性のあるクロスが電動で自在に上下できます。
土壁は究極のエコ建材でありながら高い蓄熱性能と調湿性能を有し、日本の伝統建築には無くてはならない存在でした。この土壁の特性を最大限に引き出すために、断熱材や構造体面材として、透湿性能の高い天然素材を外側に足し合わせていく事で、高断熱ながら水蒸気が抜ける壁構成を実現、しかも隙間風を完全にシャットアウトしています。
日本の伝統建築の知恵と、高断熱高気密の概念がもたらした、日本版パッシブデザインの完成です。
家のこと | |
---|---|
基 礎 | 逆ベタ基礎 断熱発泡ボード100mm 発泡ガラス砕石 |
外 壁 | 木質繊維ボード40mm ケナボード ウッドファイバー100mm 土壁40mm |
屋 根 | ウッドファイバー270mm 調湿気密シート |
サッシ | 十津川杉の木製サッシ トリプルガラスアルゴン入り (南面のみペアガラス) |
構造体 | 十津川杉(奈良県地域認証材) |
造形材 | 十津川杉 |
合 板 | 十津川杉 |
省エネのこと | |
---|---|
全体仕様 | ドイツのパッシブハウス基準仕様 |
換気装置 | 熱交換換気装置(熱交換率90%) |
暖 房 | 蓄熱薪ストーブ(パッシブハウス対応) |
暖房負荷 | 14kw/m²・a |
冷 房 | エアコン1台(4kw程度) |
冷房負荷 | 13kw/m²・a |
エネルギー消費量 | 51kw/m²・a (冷暖房、給湯、換気、照明を含む一次エネルギー換算) |
十津川の森 木灯館 | |
---|---|
施 主 | 十津川村三者共有資産管理運営協議会 |
設計監理 | KEY ARCHITECTS / 福本設計 |
施 工 | 柳瀬工務店 / スペースマイン |
監 理 | KEY ARCHITECTS |
建築地 | 奈良県橿原市曲川町7丁目20番1号 (イオンモール橿原十津川の森敷地内) |
床面積 | 178.26m2(53.92坪) |
構 造 | 木造2階建て |
竣 工 | 平成24年3月 |