十津川の森から

12.08.22

十津川村の宝物



じりじりと照りつける太陽、じりじりと歌い続ける蝉。

十津川村では、「最近夏が暑うてかなわん(困る)。野菜も枯れてしまう。」が、挨拶代わりになっています。確かに、数年前から太陽が増えたのかと思うほど(?)夏が暑く、長い。夏が過ぎると、もう冬、そして短い春、長い夏へと、その繰り返しが続いています。

以前はもっと気温が低かったのですが、いまは、真夏の日中は、おじいちゃん、おばあちゃんたちは大切な畑にも出られません。朝は日の出の頃から、夕はヒグラシの声が聞こえる頃、ようやく安心して畑に向かいます。
 
エアコンも冷蔵庫も普及しない頃は、玄関先に打ち水、すだれに風鈴、谷や水桶にスイカやきゅうりを浸けて置き、冷やして食べる、そんな自然を利用した方法で十分涼しいと思ったものですが、今はエアコンが当たり前になってしまいました。


ただ、気密性が低いままエアコンを使うと効率も悪く、各部屋に設置しても電気代ばかりかかります。その点からも「木灯(ことぼし)館」の気密性、断熱効果には、驚かされるばかりで、エアコン一つで全館178.26m²の温度・湿度をコントロールする機能が備わっています。
 






昭和中期の十津川村の家は土壁を利用した木造家屋で、格子が入った玄関を開けると、土間があり、内装は大工仕事や左官塗装、柱はもちろん居間や天井も木製、キッチンは土間で竈炊き、風呂は薪で沸かし、夕方は各家の煙突から煙が昇るのが日常でした。
 
襖、障子、雨戸、床の間、欄間にと、建具類にも木が利用されており、年月が経ち木の香が薄れても、木の暖かさ、やさしさはずっと続いたものです。

家の内外には、風の抜け道があり、風が通ると雨戸の袋戸棚が『ころころころ』と転がるように微かな音色で、風の訪れを告げます。職人の建てた家には、パッケージものの家屋にはない味わいがあります。

いまは、様式の変化からか、大工仕事も減り、そんな建築様式の家は少なくなってきましたが、「木灯(ことぼし)館」が竣工したとき、最先端技術を駆使したパッシブ仕様であるにも関わらず、何故か懐かしい気がしたのは、土壁や土間、杉をふんだんに使ったつくりに、杉の香に、昔の十津川の家を感じたからかも知れません。
 
日本伝統建築のよさを十分生かしつつ、最高峰の木造省エネモデルを実現した「十津川の森木灯(ことぼし)館」は、木造でエネルギー負荷を最小限に抑え、更に自然界にある素材を有効に利用した新環境提案型モデルハウスです。


(ほらくり山の風景)

木材を構造材、内装材、断熱材、サッシ枠、キッチン、浴室、トイレ、家具、小物等、あらゆる場に利用することでCO2を固定、更に、壁を日本古来の竹小舞による土壁、生長時に高いCO2吸収を果たすケナフを使ったケナボード、これらの素材利用により、世界最高基準のドイツの省エネ基準にまで高め、高い気密性、断熱性を生み出しCO2排出抑制にも寄与しつつ、杉の香のまろやかな風を館内に均一に運ぶことに成功しました。「木灯館モデル」の建築が進むと、ほらくり山(放置林)で眠っている木材や竹の間伐材も有効利用でき、更に木材利用により地球温暖化対策にも貢献します。



 
日本古来の建築と、エネルギーの消費を最小限に抑える現代の技術・デザインの融合により誕生した十津川の森木灯館・・新しいのに懐かしい、そんな不思議な魅力で皆様をお待ちしています。

幼い頃、影踏みをしながらの帰り道、息を切りながら「ただいま」と駆け込んだ懐かしい我が家。
「こんにちは」より、「ただいま」が似合う、村の宝物がまたひとつ生まれました。


Posted by 木灯館






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